残業時間が切り捨てられて残業代支給の対象外にされている

【相談内容】
  残業時間が切り捨てられています。

相談詳細】
 職場では、日々の労働時間について30分未満の残業時間は切り捨てられ、残業代の支給対象となっていません。これは残業代の不払いにあたると思うのですが、どうすればよいでしょうか?

【対応】
1日単位での労働時間の切り捨ては労働基準法(※1)の違反にあたり、認められません。
まずはこの切り捨ての事実が確認できる証拠を準備してください(例: 事業所からの文書や通知・メール、タイムカード、給与明細書、等)。
使用者(労務管理者)に対して証拠を提示し、この切り捨てについて違法であることを指摘の上、切り捨てられた分の残業代を支払うよう請求してください。
使用者がこの請求に応じない場合は、上記証拠を持参したうえで労働基準監督署に相談し、事業所を指導してもらうようにしてください(※2)。
もし労働基準監督署からの指導によっても解決されない場合は、同じ立場の仲間とともに、労働組合に加入し残業代の支払いを求めて団体交渉することをおすすめします。労働基準監督署の指導は強制力を持ちませんが、使用者は団体交渉を原則拒否することはできません。

【補足】
※1 労働基準法第24条第1項「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」(賃金全額払いの原則)
例外:一方で、事務処理の簡素化のために、1か月単位で合計労働時間を端数処理することは認められています。具体的には「1カ月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上(30分以上)を1時間に切り上げること」は違法とはなりません(昭和63年3月14日付け通達 基発第150号)。
※2 労働基準法違反に関する労働基準監督署への相談は無料ででき、匿名でも対応してもらえます。