過小な業務しかさせてもらえない(パワハラの一種)

【相談内容】
  資格職(専門職)として入職したはずが、資格と関係なく必要性もわからない程度の低い業務ばかりさせられました。退職すると、支払った給料を返せと言われています。

【相談詳細】
 臨床心理士として就労継続支援A型事業所に入職しました。心理士として就労者の支援をするはずが、実際は心理士としての知見や能力を活かせる仕事はまったく任されず、なぜか就労者と同じ作業をさせられたり、目的なく外出を命じられたりしました。体調を崩し退職することにしましたが、早退したときや出勤しなかった日の分の給料を返せと言われています。まったくの期待外れの仕事をさせられて辞めた上に、支払った後から給与を返せなど、到底納得できません。使用者に対抗することはできないでしょうか。

【対応】 
会社の給与返金請求の内容がはっきりしませんが、雇用契約書や社内就業規則・賃金規程等を確認してください。
(会社の給与計算ミスであれば、返金が必要になるかもしれません)、雇用契約時に退職時の給与の返金について特別合意がなかったのであれば、返金に応じる必要はありません。
 また、職場のパワーハラスメントは6つの類型(※)があり、今回のケースはそのうちの「過小な要求」に該当すると考えられます。過小な要求とは、業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること・仕事を与えないことを指します。
 パワーハラスメントについては各都道府県の労働局や労働委員会、法テラス等に相談することもできますが、既に退職したということと給与の返金でもトラブルになっていることも含めると、①パワーハラスメントに対する慰謝料の請求と②給与返金請求の取り下げ の2つを同時に求めて団体交渉をした方が効率的かもしれません。労働組合への加入を検討ください。

【補足】
※パワーハラスメントの6類型
①身体的な攻撃…暴行、傷害など
②精神的な攻撃…脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言、人格否定の発言など
③人間関係からの切り離し…隔離、会議や研修に参加させない、仲間外し、無視、挨拶しないなど
④過大な要求…業務上明らかに不要なことや遂行不能なことの強制など
⑤過小な要求…省略(本文記載の通り)
⑥個の侵害…私的なことへの過度の立入り、プライバシーを暴露されるなど
注:6類型は、パワハラ行為のすべてを網羅するものではなく、これ以外は問題ないということではありません。