定例開催している「アルンディ」、2026年4月4月26日の開催内容をお知らせします。
総労働分配で経済を見るー積極財政の中身を問うための手法
会場:京都市地域・多文化共生ネットワークサロン (Googleマップ)
(京都市南区東九条東岩本町31 電話:075-671-0108)
日時:2026年4月26日(日)午後1時30分開場 午後2時開始
報告:松尾匡(まつお ただす)さん 立命館大学経済学部教授
司会:笠井弘子 (きょうとユニオン執行委員長)
2026年4月、2回目の「アルンディ」です。
ご報告いただく「松尾匡(まつお・ただす)」さんからのご提案を共有します。
当日は松尾匡さんの最新のご著書「上VS下の経済学(地平社)」の会場販売(10冊のみ)も行います。
ぜひ、ご参集ください。
【松尾匡さんの提案】
総労働配分で経済を見る——積極財政の中身を問うための手法
読者のみなさんにはすでに、通貨主権を持った国には財政資金の制約はなく、一国全体の供給能力(特に働き手の数)の制約があるだけだということを知っている人も多いと思います。だから失業者がなくなるまでは、国が新たにお金を作って政府支出してもインフレが悪化することはないということも聞いたことがあるでしょう。では、失業者がいる間は、軍拡でも万博でも、何でもいいから政府支出を増やして、失業を減らせばいいのでしょうか。
あるいは、失業者がなくなってしまえば、それ以上政府支出を増やそうと思ったら、そのお金の力でインフレが悪化しないよう、別の政府支出を削減するか、増税するかして、別途世の中のお金を減らさないといけません。それならば、消費増税でも福祉の削減でも何でもいいのでしょうか。
もちろんそうではありません。このことを考えるために必要な経済の見方が「総労働配分」です。社会というものは、原始時代から未来社会まで、人のニーズをみたすために人が労働を投下しあっている「ヒトとヒトとの依存関係」というのが正体です。この正体を直接にとらえて、社会のさまざまなニーズのために、社会全体の労働がどれだけずつ割り当てられているかで世の中のあり方を把握するのが「総労働配分」なのです。
私たちの生きている商品生産社会では、「ヒトとヒトとの依存関係」を回すツールとしておカネが使われます。すると経済は、「利潤」「賃金」「租税」等々といった、おカネの回り方で認識されることになります。しかし、名目的に賃金が上がっても、賃金から買う生産物の生産と、利潤から買う生産物の生産のそれぞれのための総労働の配分が変わらなければ、結局物価が上がって、労働者が手にできる生産物の量は元のままです。だから本当は、おカネの回り方の背後にある総労働配分の変化を考えなければならないのです。
このような総労働配分の考え方をすれば、高市政権の経済政策の根拠がわかりますし、私たちが打ち出すべき対案は何を考えなければならないかがわかります。
マルクス経済学というものについて、労働者の手から「労働価値ビーム」が出て商品に凝固するかのような理解をすることは時代遅れとなりましたが、もともと言わんとしていたのはこの「総労働配分」という見方でした。ここでお話しすることは、この見方からすれば、現代においてもマルクス経済学はいかに強力なツールになるかということです。